■メダカの母になって■
なんと変わったタイトルだと思われたことでしょう。タイトルにある“メダカの母”は、実は私のことなのです。確か2年ほど前、メダカが絶滅の危機にある事を知りました。川が近くに流れているという環境の中で育った私は、当たり前の様に川の中でたくさんのメダカが泳いでいると思っていたので、その話にとても驚いた事を思い出します。驚いただけではなく、環境をそこまで破壊してしまったことにショックを受けました。
昨年の春、叔父がメダカを近くの川からたくさんすくって来たことを聞きました。早速、そのメダカを増やして川に放流しよう!と5匹もらってきたのです。これが“メダカの母”のスタートでした。絶滅の原因のひとつに、人間が川に放流した外国の偽メダカが日本のメダカを食べてしまうからということがあるそうです。見た目はそっくりだそうで、叔父からもらったメダカが偽メダカでないかどうか豊川市にある「ぎょぎょランド」に持っていき、確認してもらいました。結果は“本物”!これでおもいっきり増やすことになったのです。
ぎょぎょランドの方は、「産み付けた卵を親と別の容器に移してあげるだけ。メダカは簡単に育てることができます。」とおっしゃっていたのですが、今まで“魚”を飼う事に縁のなかった私にとっては、とてつもなく大変な事をスタートさせたのでした。
水槽の中の水草に卵が産み付けられてないか、毎日の卵チェックに始まり、孵化した子メダカたちの世話など、本当に大変でした。分からないことばかりなので、インターネットでいろいろ調べて実行。おかげで1500匹以上の稚魚が誕生。(卵はその倍以上ありました。)その中のほんの一部が成魚になって1年近く経つ今、お腹に卵をつけています。
大切なことのひとつに同じ日本のメダカであっても、決して他の川に放流してはいけないそうです。DNAが違うので生態系を崩してしまうのです。一番大変だったのは環境づくりでした。当然のことながらカルキの入った水道水はダメ。水槽の温度と3度以上違う水にメダカを突然移してはダメ。酸素が欠乏してはダメ。メダカが排出するアンモニアが水の中に含まれすぎてはダメetc…。結局、自然の中ではないのだから、自然に近い状態にしてあげないと死んでしまうのですよね。加えて、手を掛け過ぎても死んでしまうのですよ。
この1年、メダカの母を毎日やっていて、メダカが環境の変化にとても敏感なことに驚かされました。私達人間も、環境づくりを真剣に考えていかないと!何が大切かに気付いていかないと!もっと大変なことになることは間違いないです。メダカの様に環境の変化ですぐに死んでしまうことはないのでしょうが、アレルギーをはじめいろいろな病気になっている人が増えています。「メダカ絶滅の危機」と言っているのが「人間絶滅の危機」とならないように。