「人にやさしいまち」というと何を連想されますか?段差がない、障害者用トイレの設置、歩車道分離、エレベーター、エスカレーターの設置etc…ですか?細かい事をあげればまだまだ色々出てくるとは思いますが、私もその他に公園の充実や街並みの美しさなども考えていました。
今年の6月の終わりから9月初旬にかけて「人にやさしいまちづくり講座」に参加しました。毎週土曜日の午後1時~5時はみっちりこの講座。仕事をしながらですから時間的にかなり大変でした。50名の参加者の多くはそんな人ばかりではないでしょうか。
全部で17講座ありましたが、一番印象に残っているのは脳性マヒの障害をお持ちの行方祐美さんのお話。行動派でいつも色々な角度から物事を見られていて、私にとっては衝撃的なお話ばかり。祐美さんは、“寝たきり老人のいる国、いない国”という本を読んで、その本に出てくる福祉先進国のデンマークに強い憧れをもっていたそうです。そして2年前にエイヤー!とおもいきって、友人と2人で憧れの国デンマークへ。初の海外旅行だったそうです。
「日本と違って憧れのデンマークはどんなにステキな国なのだろう?!ワクワク」という思いは、実際にデンマークに行ってみたら大きく期待を裏切られたそうです。
古き良き時代の家や道を修復して使っているデンマークでは、階段が多く、道は石畳でデコボコ。車イスでいつも行動されている祐美さんは、「どうやって行動するんだろう?」と疑問に思い、質問してみたそうです。すると「ヘルパーが買ってきてくれるから外に出る必要はない。」という返事。何を買うにしても実際に自分がそのものを見て買いたい!と思っている祐美さんにとって、その答えはとても疑問だったそうです。
「確かにデンマークは24時間介護があるかもしれなけれど、コペンハーゲンの街で車イスの人と出会ったのはたった2人だけだった。出にくい街だった。」「北欧は福祉がとても充実しているかもしれないが、もうほとんど制度が固まってしまっている。それに比べて日本はまだまだこれから。行政やみんなの力でどうにでも変われる熱い国です。」という祐美さんの話が印象的でした。
個々の自立した気持ちを尊重できるような、人間らしい“あたたかさ”を感じる福祉制度をつくる可能性が日本にはまだまだある!という希望を私たちに強く伝えてくれました。