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■やさしい瞳から/Ⅱ■

なぜエネルギーが2100年には爆縮(急激になくなること)してしまうかというと、これから先進国が増えてくることがその理由の1つだそうです。日本は1970年代に先進国になりましたが、経済の成長と共に消費も急激に増加し、1970年頃に比べると現在は、エネルギー消費が大幅に増えているそうです。後進国が経済成長と共に、今の先進国の様にエネルギーを使い始めたら?!と考えると、とんでもないことになることが想像できるというのです。

ただ、一度得た快適性や利便性はなかなか捨てられません。だから社会が進化しているし、文化もあります。これらの快適性を、エネルギーを使わないためにがまんしなさいと言っても、そうそうできるものではありません。快適性、利便性を維持し、いかにエネルギーを使わないようにして行くかというと、今までのように「経済の成長=消費エネルギー量増加」にならない成長にする。つまり「循環型社会」にするしかないという事だそうです。

「循環型社会」とは、「1」のエネルギーから「1」の物をつくり出すのではなく、エネルギーを循環させて「1」のエネルギーから「100」いや「百万」の物をつくり出していくという事だそうです。ペットボトルを再生して使うという事は、これにあてはまらないそうです。なぜかというと、再生するのにまた多くのエネルギーを消費しているからです。

ではどうやって「1」のエネルギーからそれ以上の物を作り出すのか…。例えば、日本の風土は夏の暑いときに湿気が多く、冬の湿気が欲しいときに湿気が少ない、快適とは言えない風土です。日本とは全く反対の気候(快適な気候)である国の住宅を、そのまま日本で造ると、エアコンなどの力を借りなくては快適に過ごすことができない訳です。エアコンなど、エネルギーを消費する物を使わずに快適にすることができないだろうかと考えると実はあるのです。
例えば、木や土などの孔を持っている材料を住宅に使うと湿度コントロールしてくれます。

石田氏は、ご自宅の分譲マンションの壁に珪藻土を塗り、床には土を蒸したタイル(製品化されているもの)を貼られたそうです。それまではエアコン無しでは考えられなかった生活が、改装してから一度もエアコンを使っていないとか。土が湿度を調節してくれるのでとても快適で、使う必要がないのだそうです。快適さは他にも表れ、魚を七輪で焼いても匂いが部屋に残らない。そればかりか、匂いを感じることのできなかった奥様が、ある日突然「いい香りがするわね。」と言い出したそうです。
快適さをただ感じるだけでなく、改装前と改装後の自宅の各所温度や湿度、消費電力のデータを比較した結果、大きく差が出、快適さを立証していました。

「1」のエネルギーを「100」にも「100万」にもできる。そして、より快適な住宅を造って行きたい!そう強く感じた講演会でした。

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